誤解されやすい専任媒介契約
よく誤解されるのが、専任媒介契約です。
専任媒介契約とは、その中古マンションなどの物件を、その会社でしか取り扱いをしていないというわけではなく、「売主の窓口になる不動産会社が一社のみ」ということだけなんです。
これだけではわかりにくいので、具体例を示してご説明します。
例えば、
ある気に入った中古マンションが見つかり、少しでも良い条件で購入するため、複数の不動産会社を訪れて、どこの業者が一番値下げ交渉をしてくれるのか、アイミツをとるとしましょう。
そしてこの場合、中古マンションの売主が専任媒介契約を結んでいる業者を「選任不動産」としておきます。
あなたはA社、B社、C社、D社の4社を訪れて、それぞれの業者に値下げ交渉をお願いしたとすると、A~Dのすべての業者が「選任不動産」に交渉に行くことになります。
A社~D社はどの不動産会社も、売主と直接交渉することは出来ないのです。
必ず、売主と専任媒介契約を結んでいる「選任不動産」を通じて売主と交渉をすることになります。
そうすると、A社~D社をまわって、アイミツを取ることには効果があるでしょうか?
答えはNOです。
もし、本当にこんなことをする人がいたとしたら、どうなるでしょう。
例の「選任不動産」の立場に立って考えてみてください。
A社からも、B社からも、C社からも、D社からも、同じタイミングに、金額の交渉の話が来るわけです。
それも、話を聞いてるとどうやら同一人物だと推測も出来ます。
選任不動産はどう思うでしょうか?
きっと前向きには考えてくれないでしょう。
もし私が、選任不動産だったら、ややこしいひとではないかと心配します。
どうすれば、中古マンションを安く購入できるか?
では、少しでも安く購入するにはどうすればよいのでしょうか?
ひとつは、その中古マンションの売主と専任媒介契約を結んでいる不動産業者に交渉に行くことです。
それが、なぜ安く買える理由につながるかというと、仲介手数料です。
専任媒介契約を結んでいる不動産業者で中古マンションを購入すると、不動産業者は2倍の仲介手数料を得ることができます。
購入する人と、売却する人の両方から、仲介手数料がもらえるのです。
反対に、先ほどの例の場合のA社を通じて購入すると、購入する人はA社に仲介手数料を支払い、売却する人は「選任不動産」に仲介手数料を支払うということになります。(これを「共同仲介」、業界では「分かれ」といいます)
これを利用するのです。
専任媒介契約を結んでいる不動産業者は自社で契約をまとめることで、2倍の報酬が得られるため否が応でも力が入ります。
仲介手数料は2倍ですから多少値段交渉がきつくても、頑張って応じようとするでしょう。
あるいは、仲介手数料を売主買主両方を半額にしても、通常の仲介手数料分は確保出来るわけです。
A社で購入するよりも、安く買えそうな気がしませんか?
まあ、とはいってもみんな感情のある人間相手ですから、なんでも理屈どおりに運ぶとは限らないですが。
結局はやっぱり、売主は自分の住んできた家をいい人に住んでもらいたいという思いがあるというケースが非常に多いです。
多少安くなっても、この人だったらいいか・・・と思ってもらえるのが、一番じゃないでしょうか。
売り出されている中古マンション・中古一戸建の値段交渉について
私が営業をしていてよく聞かれます。
『中古マンションの値段交渉って一般的にどのくらいできるものなのですか?』
(どれくらい交渉できるか、わかってたら苦労しないよなあ…)
たとえば6,980万円で売却に出ている一戸建を5,500万円で契約したこともあれば、全く値段交渉の余地がなく、売却価格そのままで契約したこともあります。
結局どのくらい値段交渉がきくのか、どのくらい価格が下がるのかは、売主次第なのです。
営業マンがいくら値段を下げれると思っていても、売主が下げてくれないことは、私の過去の経験でもいくらでもあります。
中古マンション・中古一戸建の売主の大半は一般のエンドユーザーさんです。
マンションをころがして利益を得ようとは思っていらっしゃらないでしょうし、同居・転勤・買い替え等々の事情があって売却に出されていることが一般的です。
ですから、急いでおられる方であれば価格を下げても売りたいでしょうし、そうでない場合は値段交渉が入ってきても、
今すぐ売れなくてもいいから、もっと好条件で購入いただける方を探します!
とおっしゃる方もいるのです。
とういわけで、冒頭の質問「中古マンションの値段交渉って一般的にどのくらいできるものなのですか?」の答えにはなっていませんが、売主次第なのです。
そこで重要なのが・・・「売主の中古マンション・中古一戸建の売却理由、なぜ売却するのか?」なのです。
これらを不動産業者に聞いて確認しましょう。
それは確かではありませんが、まずはきちんと訊ねることが大事です。
そして、マンションの登記簿謄本を見せてもらいましょう。
それだけではなく、たとえば居住中の物件を見に行った場合は、置いてあるものを色々と観察してみましょう。
あるいは、ズバリ売主さんに聞いてみましょう!
単刀直入に聞いてもいいと思いますし、
「購入する上で確認しておきたいので、失礼を承知で伺いますが…」
などと、前置きをして聞いてみるのもいいかもしれません。
ですがあまりに、直接的な尋ね方をすると、
なんて思われては、値段交渉のときに悪い方向に影響するかもしれません。
売主の気分を害さないように意識して聞いてみてください。
話が少しそれましたが、売主の売却理由が離婚のケースなどは、売主さんもあまり知られたくない個人情報なので、はっきりといってくれる人はなかなかいません。
そういうときに、荷物が少ないとか、夫婦ですんでいそうなはずなのに、なぜか持ち物が女性のものしかない、あるいは男性のものしかない、など、荷物の量やおいてあるもので見えてくるときもあります。
私は本棚においてある本なんかをよく観察したりします。
読んでいる本を見ていると、どんな職業の方なのか、どんな趣味があるのかなど、探ることができます。
もしも、それで売主さんと話が盛り上がると、好印象にもなるかもしれませんし、値段交渉のときにも、
「あの人ならば、少し安いけどいいか・・・」
など、良い方向に働くかもしれません。
うまく本当のことを聞き出せればよいのですが、それだけではなく、不動産業者にも頼んで登記簿謄本を見せてもらいましょう。
登記簿謄本を見る目的は、「どれくらいの債務があるのか」、まずはこれを確認します。
そして、所有者の変遷なども見てみましょう。
場合によっては、相続、離婚などの情報がわかるときもありますし、差し押さえなどが入っていると、お金に困っていることも推測できます。
たとえば、「中古マンション・中古一戸建の売主は急いでないと言っている」が、登記簿謄本を見れば抵当権の金額が大きかったり・・・銀行ではないところから借り入れをしていたり・・・差し押さえがついていたり・・・こういうケースはマンションの売主が嘘を言っている(見栄をはっている)可能性があります。
こういうときこそ、大幅な値段交渉がきくときがあるのです。
お金に困っている人こそ、値段交渉は聞きやすいのです。理由は「急いでいるから」です。
お金をたくさん持っている人のほうが、値段交渉に応じてくれそうな気もしますが、実は反対なのです。
お金に余裕のある人は、なかなか安い金額では売ってはくれません。
「別に売れなくてもいいんです」てな感じで、「売れなかったらまた次の方を探します~」とおっしゃいます。
でも物件は気に入った人の負け。気に入ってしまったら、値段引いてくれなくても欲しい!
そのときは、思い切って購入しましょう!気に入ったのなら、後悔はないはず!
入居して、結果的に満足が得られるかどうかですから、価格はあくまでそのひとつの要素。
それだけにこだわらず、全体をよく見て決断をお勧めします。
もう一度申し上げておきます!
確認すべきは、「マンションの売主の売却事情」ですね!