何となく支払っているだけで、固定資産税の計算方法はよく知らないという方もいるかもしれません。
しかし、不動産を購入する時はもちろん、売却する時にも固定資産税をシミュレーションしておくことが重要になります。
そもそも固定資産税とはどういうもの?
毎年1月1日時点で固定資産を所有していると課せられる税金のため、1月2日以降に土地や建物を売却しても固定資産税は支払わなければなりません。
しかし、固定資産税は日割りで支払うもので、途中で売却したからといって損するわけではありません。
納税書は4月から6月にかけて送付され、支払期限までに税金を納めることになります。
支払いは一括払い、もしくは4回に分けて支払うことが可能です。
固定資産税は固定資産税評価額によって決められる
「固定資産税評価額」は、「固定資産評価基準」というものを基に決められるのですが、「固定資産評価基準」は各自治体によって変わります。
土地は面積や形状、エリアによって評価基準が変わりますが、公示価格の6割から7割程度になるケースが多いです。
建物も築年数や広さなどによって固定資産税評価額が変わってきます。
しかし、税額が高くなりすぎないように、公示価格の4割から6割程度を目安に決定されるのが一般的です。
固定資産税評価額は基本的に3年間は変動することがありません。
固定資産税をシミュレーションする前に特例処置のことも知っておこう!
住宅用地は特例処置の対象になる
2018年度に税制改正がされ、新築された住宅に対しての固定資産税の減税処置が2年間延長されました。
そのため、2020年3月31までに新築された住宅なら住宅用地の固定資産税が減税されます。
住宅用地200平方メートルまでは固定資産税評価額が6分の1、200平方メートルを超える分は固定資産税評価額が3分の1まで下がります。
新築住宅は固定資産税が安くなる
2020年3月31までに建てられた住宅は、土地だけでなく建物に対しての固定資産税も減税されます。
一戸建てでもマンションでも適用されますが、延べ床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下という条件があるので注意しましょう。
延べ床面積にはマンションの共有部分や車庫なども含まれます。条件にあてはまる新築住宅なら、固定資産税が2分の1になります。
住宅用地は固定資産税評価額が減りますが、建物部分は固定資産税が半分になるという点に注意しましょう。
また、建物によって減税される期間が変わる点にも注意が必要です。
要チェックだ!
戸建・マンション・土地それぞれの固定資産税の計算例
固定資産税の計算式は、固定資産税評価額×税率です。
固定資産課税台帳を確認しなくても、土地の価格と建築費用の7割程度で計算すればだいたいの固定資産税評価額を割り出すことが可能です。
また、税率は地方自治体によって変わりますが、標準税率が1.4%となっているため大まかな固定資産税を知りたい場合は、1.4%で計算しておきましょう。
特例処置が適用される場合は、その分を引いておくのも忘れないようにしてください。
戸建住宅の例
まず建物にかかる固定資産税を計算していきます。
これを1,400万円(固定資産税評価額)×1.4%(税率)で計算した場合、固定資産税は19万6,000円です。
もし特例処置が適用される住宅なら、固定資産税は半分の9万8,000円になります。
戸建住宅の場合土地にも固定資産税がかかるので、次はその分を計算していきます。
土地の面積が200平方メートル以下で2020年3月31までに購入した土地なら、特例処置が適用され6分の1になるため固定資産税評価額は約116万円です。
そのため土地の固定資産税は、116万円(固定資産税評価額)×1.4%(税率)で約1万6,000円となります。
建物にかかる固定資産税9万8,000円と、土地にかかる固定資産税1万6,000円を合わせて支払うことになるため、トータルの固定資産税は約11万円程度です。
小数点以下の計算や、固定資産税評価額の上下で正確な数字は変わってきますが、このような計算でおおよその固定資産税を割り出すことができます。
マンションの固定資産税のシミュレーション例
2020年3月31までに建てられたマンションの場合5年度間は特例処置が適用されるので、それで計算すると固定資産税は半分の10万5,000円です。
建物部分と土地部分を合わせた固定資産税の納税額は17万5,000円です。
中古マンションで築年数が経ってる場合は、同じような条件でも建物部分の固定資産税評価額が下がったり、特例処置が適用されなかったりするため、固定資産税の額は変動します。
建物部分の固定資産税評価額は、基本的に建てられてから年数が経つごとに下がっていきます。
経年減価補正率表というものがあり、その補正率を基に計算することも可能ですが、素人では計算が難しいため正確な数字を知りたい場合は専門家に依頼したほうがよいでしょう。
土地の固定資産税の計算例
例えば土地の固定資産税評価額が4,000万円なら、固定資産税は56万円です。
特例処置が適用される土地なら、200平方メートルまでは固定資産税評価額が1/6になるため、4,000万円×1/6×1.4%で約9万円の固定資産税となります。
固定資産税が気になった時は自分でシミュレーションしてみよう
住んでいる一戸建てやマンションの固定資産税を支払う時、なぜこんなに高いのか疑問に感じたことがある方もいるかもしれません。
今回紹介した計算方法を使えば、なぜ固定資産税がその額になっているのかを自分でシミュレーションしてみることができます。
固定資産税は不動産を売却する時にも大きく関わってくるものなので、正しい計算方法を理解して固定資産税をシミュレーションしてみましょう。