固定資産税の金額は、自治体から送付される固定資産税の納税通知書などに記載されています。固定資産税の金額は、地域によって少しずつ差があるのが一般的です。
今回は、固定資産税が高くなってしまう理由や高いときの見直し方法などを解説します。


固定資産税が高い地域の特徴を押さえよう
これから家や土地を購入するときは、物件を維持するときの固定資産税がどのくらいかかるかをイメージしておくと資金計画がたてやすくなるでしょう。
固定資産税は路線価に比例している
固定資産税は、固定資産税路線価をもとに自治体が評価額を割り出し、税率をかけて決定します。
全国の固定資産税路線価は、インターネットを利用して調べることも可能です。路線価が高い順などを確認しておけば、不動産を売るときにも役立つでしょう。
路線価とは
路線価は、その道路に面している物件に適用される評価の基準額のことです。路線価で評価額を決める場合、同一の道路に面している物件はほかの条件に大きな違いがない限りだいたい同じくらいの評価になります。
路線価が高い場所にある物件は、固定資産税も高くなる傾向があります。
商業地は固定資産税が高くなりやすい
地域を問わず路線価が高いのは、商業地です。
東京都の場合は、中央区銀座や新宿区新宿、千代田区丸の内などの路線価がとくに高くなっています。
【令和2年分 東京23区最高路線価トップ3】
順位 | 所在地 | 最高路線価(千円) |
1 | 中央区銀座5丁目 銀座中央通り | 45,920 |
2 | 新宿区新宿3丁目 新宿通り | 30,800 |
3 | 渋谷区宇田川町 渋谷駅側通り | 29,600 |
参考データ:国税庁報道発表資料 令和2年分 東京国税局各税務署管内における最高路線価
地方の場合も、商業施設やオフィスなどが集まる繁華街は路線価が高い地域です。
一方で、路線価が安いのは、山間部や農村部などの郊外です。
路線価が安い地域の物件は、宅地などの実用性が高い土地であっても固定資産税が安くなるのが一般的な傾向と言えます。

住宅地は路線価が高くても固定資産税が安くなることがある
住宅地の場合も、立地によっては路線価が高くなることがあります。
実際、駅に近かったり、商業地のすぐそばに土地があったりすると、住宅地でも商業地なみの高い路線価が適用されるケースが少なくありません。
ただ、住宅地の物件にかかる固定資産税は、このような路線価に必ずしも比例しない場合があります。
家が建っている住宅地の宅地は、住宅用地に該当します。住宅用地には特例が適用されるため、税金の額が安くなるのが一般的です。
敷地が200平方メートルを超える場合も、住宅用地は3分の1に固定資産税の金額が減額されます。
固定資産税が高くなる理由
- 土地の路線価が高い
固定資産税が高い場合に一番に考えられる理由は、路線価による影響です。路線価が高い場所にある物件は、納税通知書に記載されている固定資産税評価額や課税標準額も高額であることが多いです。
固定資産税は課税標準額に税率をかけて算出されるため、基準となる金額が高いと税金の金額もアップします。
ちなみに、突然固定資産税が上がったときは、近隣地域の開発などの影響で路線価が変わった可能性があります。
疑問を感じるときは、自治体の税務課などに問い合わせて確認をしてみましょう。

- 更地のまま土地を放置している
住居などの建物が建っておらず、更地のまま放置している土地は固定資産税が高くなる傾向があります。
このような土地は、住宅用地の特例が適用されません。そのため、固定資産税の軽減はおこなわれず、税額も高くなるのが一般的です。
地目が宅地の場合は、発生する税金も高くなることが多いです。
- 空き家を所有している
空き家も、土地の固定資産税が上がる理由のひとつです。
2015年に空き家対策特別措置法が施行されたことで、空き家が建つ土地にかかる固定資産税の扱いが変わる可能性がでてきました。
建物が特定空き家に指定されてしまうと、土地の固定資産税の金額が大きく変わることもあり得ます。
- 自宅の敷地面積が広い
住宅用地の特例は、適用される面積に制限があります。住宅用地の特例は、家の床面積の10倍までの面積に適用されます。
このような基準を超えた広い庭などがあるときは、軽減できる税金の額が制限されるため要注意です。
「固定資産税が高い」と思う人は、自分が所有している敷地の面積がどのくらいあるかを一度チェックしてみましょう。
- リフォームをして新しい設備を導入した
リフォーム工事も、固定資産税が高くなる一因です。
建物の固定資産税には、導入した設備や構造部の価値、新たに追加された面積などが反映されます。最新の設備を導入したり、床面積が増えたりすると、固定資産税も上がることが多いです。
リフォーム工事をした後には、自治体による固定資産税の再評価がおこなわれます。こういった再評価で価値が高いと判断されると、固定資産税の金額も変わる可能性がでてきます。


固定資産税が高いときの見直し方法
家の建て替えをする
古い家を取り壊して新築の家を建てると、施工してから数年間は建物の固定資産税が減る可能性があります。
新築住宅には特例が適用されるため、建て替えた家の評価が加わっても、一定期間は負担する固定資産税が安く抑えられるケースもあるでしょう。
この方法をとるときは、タイミングが大切です。
固定資産税は、毎年の1月1日の状況をもとに課税がおこなわれます。取り壊しをしてから家の施工まで間が空いてしまうと、更地としてみなされるリスクがあります。
更地に新たに家を建てる
更地にしてあった土地に家を建てるのも、固定資産税を減らすのに役立つことがあります。
新築の家を建てると、新築住宅の特例はもちろん、住宅用地の特例も適用されます。
新築の家を建てると建物に新たに固定資産税がかかりますが、土地にかかる税金は大幅に節税できる可能性が高いです。
耐震化や省エネ、バリアフリー化のリフォーム工事をする
耐震化や省エネ、バリアフリー化などの特定の目的でおこなうリフォーム工事も、固定資産税を減らす方法のひとつです。
こういったリフォーム工事をおこなった場合、固定資産税が減額されます。
土地の地目変更をする
家などの建物を建てる予定がない土地は、地目変更ができないかどうかも考えてみる価値があります。
土地にかかる固定資産税は、その物件の地目で変わります。税金が安く済むのは、農地や山林などです。
家庭菜園などに興味がある人は、宅地を農地に地目変更するのも節税方法になるでしょう。
農地の転用申請をする際には、いろいろな条件があります。


固定資産税について知っていれば賢く不動産の取引ができる
固定資産税は、土地や建物などの固定資産を所有している人にとって避けられない税金です。
ただ、このような税金にはいろいろな特例制度があります。高くなる理由に心当たりがあるときや、問題点を見つけたときは、ここで紹介したような見直しをおこなって解決法を見つけてみましょう。

