親の家を相続して、すぐに売却したくないという方は、空き家の利活用の選択として「貸す」ということを選ぶことになります。
空き家を「貸す」には3つの方法がある!
① 空き家を賃貸住宅にする!
賃貸住宅にするというのは、親の家に住んでもらえる別の家族に家を貸すということです。
- 人が住みたがる立地
- 手入れをせずに貸し出せる築浅の家
築30年以上の古い家では、キッチンなどの水回り設備の交換や床や外壁が傷んでいるため修理をする必要があり、費用として200万円以上かかってしまうことがあります。
このように改修費用が高額になってしまうと、家賃で回収することが難しくなります。
② 空き家を更地にして土地を貸す!
親の家を取り壊し更地にすることで土地を貸します。
駐車場やトランクルーム、資材置き場などとして貸すことができます。
- 需要が確保できる立地
③ 空き家を用途転用して賃貸事業をする!
用途転用とは、相続した戸建住宅などをアパートやマンション、シェアハウスなどに改修や建て替えをして賃貸事業を行うことです。
最近では、アパートやマンションだけでなく、グループホーム、保育施設、宿泊施設などを運営する事業者に改修も含めて貸すことも増えています。
- 事業が成り立つ立地(大都市の中心部、駅から徒歩圏内など)
- 事業に見合った家や土地の広さ(アパートなら50坪、マンションなら80坪など)
アパートやマンションの賃貸事業をする場合、新しく建物を建設したり、改修する必要があります。
そのための、多額の費用を調達する方法や、事業として20~30年後を見据えた事業収支を予測して採算が合うかどうかを判断しなければなりません。
もちろん、どの利活用を選んだとしても維持管理費がかかります。
空き家を賃すという選択をする場合、難易度が高いので「売却」するべきかどうかも含めて比較検討することが重要です。
空き家を賃貸するなら、収支割れしないかをしっかり検討すること!
「貸す」場合に、どのくらいのお金が入ってきて、出ていくのかを洗い出して客観的に収支シミュレーションを行うことが大切です。
「賃貸」した時の収支を計算する!
収支予測をした結果、赤字の可能性があるのであれば、空き家を「貸す」という選択肢は考え直す必要があります。
収支=(継続的な収入+一時的な収入)-(継続的な支出+一時的な支出)
継続的な収入とは・・・
- 家賃:借主が毎月支払う金額
- 管理費:マンションの場合、借主が負担する管理費(共益費)
家賃は常に借主がいるとは限らないので、低めに見込んでおきましょう。
また、管理費は管理を委託している不動産会社に支払うため、実質収入とは言えません。
一時的な収入とは・・・
- 礼金:新規契約の場合、家主に謝意として借主が支払う金額
- 更新料:賃貸契約の更新の際に、契約内容に応じて借主が支払う金額
礼金は賃料の1~2か月分と言われていますが、最近では礼金ゼロも増えています。
更新料は更新後の新賃料1か月分と言われていますが、こちらも更新料ゼロが増えてきています。
敷金など:賃料や補修費などの支払いを担保する目的で、借主から預かる金額
借主が退去する際に、賃料の滞納や借主に原因のある損傷の修復費用の支払いに充て、残金は借主に返却されます。
そのため、収入とは言えません。
継続的な支出とは・・・
- 管理委託費:不動産会社に入居者や建物の管理を委託する金額
- 固定資産税・都市計画税:家を所有していると課せられる税金
- 管理費・修繕積立金:マンションで毎月徴収される金額
管理委託費は賃料の5%が目安で、賃料の集金、苦情対応、物件の清掃やメンテンナンスのための費用となります。
一時的な支出とは・・・
- メンテナンス費:貸し出す際のメンテナンス・修繕費用
- 仲介手数料:入居者募集を不動産会社に依頼する場合に支払う金額
- その他諸経費:損害保険料、交通費、通信費など
メンテナンス費用は、初期リフォーム代だけでなく、入居中の設備故障でのメンテナンス、退居時の補償費用、クリーニング費用となります。
仲介手数料は、月額賃料の0.5~1か月分+消費税を支払う必要があります。
具体的な収支イメージを知るために、これらの項目に当てはめて収支シミュレーションをしましょう。