賃貸経営開始までどれくらい時間がかかる?

土地活用のスケジュール管理の重要性

 

土地活用計画書をもとに、いざ事業化に向けて、取り組み始める段階で重要な点は、スケジュール管理です。

土地活用ににおける様々なパートナーのスケジュール調整・進捗管理が、とても重要になります。

 

当然、土地活用オーナーだけでは、範疇を超えてしまいますので、土地活用コンサルティング会社などの専門家が中心に行いますが、土地活用オーナ―自身も、この重要性について認識しておくべきでしょう。

 

賃貸アパート経営を行うにあたり、スケジュールが遅延するということは、その分、事業の開始が遅れる入居予定者を待たせるといった問題発展します。

「スケジュールは短く、予算は低く」というった安易な計画では、当然どこかに無理が生じるものです。

 

計画段階で、スケジュール、予算ともに、ある程度余裕をもった内容を詰めておくべきでしょう。

 

長めのスケジュール、多めの予算に対して、結果的に、予定以上にスムーズに事が運び、予算も抑えられている状態が理想となります。

こういった認識で取り組むことをおすすめします。

土地活用方法の提案書のスケジュール欄はここをチェック

 

 

土地活用オーナー自身で用意した計画書でもそうですが、実際は、コンサルティング会社や、具体的に事業内容が決まっている場合は、ハウスメーカー等の事業者側が土地活用オーナーの意向を反映して提案書を作成し、持参してくることがほとんどでしょう。

 

当然、はじめから一社に選定することなく、複数の会社から土地活用プランをもらってください

 

その中で、どの企業が、最もオーナーの意向を反映しているかを比較検討するわけですが、今回は、中でも、スケジュールに注目して、「ここをチェック」したほうがいいよという点をお伝えします。

建設期間

概算の建設期間・工期は予測できます。

 

建物の構造や、敷地形状ロケーションに応じて、概算の工期を算出します。

 

鉄筋コンクリートの場合の目安は、

  • 建設期間:階層+3か月
  • 全工事期間:階層+5か月

(ボーリング調査と杭打ち工事期間に1か月。検査と予備エ事期間として1か月。)

 

となり、例えば、

3階建てなら、6カ月が建設期間で8カ月が全工事期間
5階建てなら、8か月が建設期間で10カ月が全工事期間

といった感じです。

なるほど、3か月と5カ月を足すだけでいいんだね!簡単。
うん。概算のだけど。正確には、建設会社が工程表を提出するので、その建設期間は、長いのか、短いのかざっくり判断できる材料になるよね。

ここをチェック

  • 建設期間のスケジュール算出の中に、お盆休みや、年末年始などが考慮されているか?

 

完成まで3カ月の工数とした場合、単純に、6月1日着手して、8月31日完了ではないということです。

 

建設業界は、人工の世界なので、このように工数だけの算出の場合もあります。

 

このため、その工数をカレンダーに落としてみて、実際に、完成はいつになるかを確認しましょう。

設計と建築確認

建設会社が設計・施工する場合もありますが、デザイナーズマンションなどは設計を設計事務所に発注します。

設計事務所では意匠構造設備という区分で設計を進めていきます。

 

竣工したら4日以内に「完了検査申請書」を提出し、「検査済証」を受け取ります。

この、「確認済証」と「検査済証」は、建物が建築基準法に適合していることを証明する書類であり、融資を受けたり売却をする際には必要となるため、大切に保管しておきましょう。

 

建物の高さや規模によっては近隣住民のために「建築計画のお知らせ標識(看板)」を建築確認申請の前に現地に掲示しなければなりません。

 

「確認済証」は、申請してから住宅等の小規模な建物は7日間、その他の比較的大規模な建物は35日以内に交付を受けることになっていますが、申請図面に誤りがあると訂正の期間が別途必要になります。
この点がスケジュールに反映されているか確認しましょう。

権利調整

スケジュールを組む上で、最も気を使うべき点は、権利調整です。

 

立ち退きや近隣対策、共有名義の問題などを解決したうえで建築する必要がある場合は、利害関係者がいることなので、スケジュールが予定通りにいかないことがあります。

 

こういった事情のある場合のスケジュールはあくまでも【暫定であることを理解しておきましょう。
立ち退き交渉などは、最も時間を必要とする問題で、数年かかった事例もあります。

 

こういった問題は、スケジュールを立てる前にある程度、調整が済んでいることが理想ですが、立ち退き交渉は土地オーナー自身あるいは弁護士が行う業務なので、弁護士さんにこまかく相談しながら、スケジュールに反映していくことをおすすめします。

 

立ち退きや敷地境界のトラブル、借地上での建替承諾、近隣交渉など利害関係者がいて解決時期が確定してない問題がある場合は、正直に話しておく事が大事です!

入居者の募集スケジュール

事業であるため、スケジュールの面で最も注力すべきは、ビルや店舗であれば「テナント」、住宅系ならば「入居者」の募集時期です。

竣工までに全室契約済みを目指し、良いタイミングで募集を開始することが重要です。

 

ビルなどはテナント誘致の競争が厳しいので竣工後6か月くらいで全フロア契約という状況でも成功とみなされますが、住宅の場合は竣工時には全ての住戸の契約が完了していることを目指すべきです。

 

オフイスや商業系であれば、建物の図面や仕様が確定した段階で専門の仲介会社に情報を流し、早めにリーシング活動をします。

 

リーシングとは

賃貸の不動産物件に対してテナント付けを行い、仲介業務を行うことを意味します。

 

住宅系は建物ができないと入居者がイメージしづらいため、竣工間際になって次々と決まるということがよくあります。

 

竣工時全戸契約を目指すため、入居者募集の時期を確認し、その時期に向けてしっかり準備できるようにしましょう。

金融機関の融資等

自己資金だけで賃貸経営をする土地オーナーもいますが、ほとんどの人が金融機関から建設費などを借り入れて賃貸経営を行います。

建設会社への支払いなどのタイミングをしっかり確認した上で、金融機関の融資を調整しておくことが大切です。

 

支払いのタイミングでお金がない!なんてことがないようにしましょう。

 

建設費の支払いに応じて金融機関から借り入れる場合もあるので、資金スケジュールを示して金融機関の承認を得、資金がショートしないようにすることが大切です。
遅れている部分や難航しているところがないか常に目を配る必要があります!
パートナー全員と調整を図りながら進めていかないとだね。
その中でも、利害関係者との調整が最も気を遣う点だよ。
この点をふまえスケジュールの把握をするように努めないとだね

賃貸経営土地活用のスケジュールを具体的に見ていこう!

 

最初に土地活用事業を計画してから、賃貸アパートの完成までおおよそ、2年半~3年程度かかります。

この間に、マーケティング調査建設会社の選定建築費の調整プランの比較検討事業収支計画の作成金融機関の融資調整建設工事管理賃貸管理会社の選定入居者の募集など、さまざまな調整が必要になります。

 

もちろん、それぞれのパートナーの間にたつ橋渡し役のコンサルティング会社がしっかりスケジュール管理し、調整してくれます。

 

ただし、土地活用オーナー自身も、ざっくりと、何がどのように進んでいくのかを把握しておくことは重要です。

 

ここでは、賃貸アパートでの土地活用のスケジュールサンプルで簡単に説明しましょう。

コンサルティング系業者の選定と業務委託契約締結

1年目 01月~02月 コンサルティング会社の選定から業務委託契約

  • 土地活用をコンサルティングしてくれるパートナー選定
  • 土地活用コンサルティング業務委託契約締結
  • 現地周辺のマーケティング調査と賃貸需要、入居者やテナントのターグット層をどこに絞るかの検証

 

コンサルティング会社等のファイナンシャルプランナーや、土地活用プランナー資格を持つ方々と面談し、信頼できるパートナーを探しましょう。

 

適切なコンサルティング会社を見つけ、業務委託契約を締結した瞬間から、土地活用事業はスタートです。
いよいよだね!

設計事務所のスケジュール管理

1年目 03月 設計事務所選定

  • 設計事務所を数社選定して、プレゼンテーションの作成依頼

マーケティング調査・ターゲット選定が終わった段階で、設計事務所を数社選定して提案書の作成を依頼します。

4月・5月 提案書・プレゼンテーションの比較 設計事務所の提案を比較検証

  • 設計事務所の提案書・プレゼンテーション作成
  • 設計事務所の提案書・プレゼンテーション比較検討

設計事務所が作成した提案内容をもとに、コンサルティング会社が賃料査定や事業性を検証します。

土地活用オーナーは、自身の計画をどこまで汲んでくれているかの視点で確認しましょう。

06月~08月 設計事務所決定と基本設計開始

  • 設計事務所決定、設計業務委託契約締結
  • 基本設計(平面図・断面図・立面図)作成
  • 建設会社向け見積り用図面作成を依頼

設計事務所の提案書とプレゼン内容を比較検討したうえで、1社を選定。設計業務委託契約を締結します。

 

ここから、設計事務所は面積・階数等の基本部分の平面図断面図立面図(基本設計図)の作成を開始します。

基本設計には3カ月程度を予定しておくとよいでしょう。

基本設計図と合わせて、建設会社向けの見積り用図面作成も依頼する必要があります。

09月・11月 実施設計の作成開始

  • 実施設計作成
  • 建物間取り、設備・仕様等の打ち合わせ開始

設計事務所は基本設計完了後、実施設計作成に着手。建設材料の素材、設備機器の選定、詳細寸法計画などを作成します。

 

間取りや設備機器、仕様について随時打ち合わせを繰り返します。

住宅機器は、設備メーカーのショールームで実際の住宅機器を確認して決めていくのがおすすめです。

1年目 11月 建築お知らせ看板設置

  • 現地に建築お知らせ看板設置

地方自治体の条例にしたがって建築お知らせ看板を現地に設置し、近隣説明を開始します。

 

近隣の方への挨拶などは、コンサルティング会社にまかせっきりにするのではなく、オーナー自身も是非動向しましょう。

1年目12月~2年目01月 建築確認申請と確認済証取得

  • 実施設計完了後、建築確認申請を提出
  •  1~ 2か月で確認済証を取得見込み

実施設計の完了後、すぐに確認申請を特定行政庁の建築主事か指定確認検査機関に行います。

確認済証の取得には概ね1~ 2カ月を見込んでおくと良いでしょう。

02月~10月 工事監理

  • 設計事務所による工事監理と報告書受領

設計事務所が工事監理も併せて行います。

 

土地活用コンサルティング会社は、設計事務所からの報告をまとめて、土地オーナーに報告します。

11月 検査済証取得

  • 工事完了後、検査済証の取得
  • 施主による完了検査および手直し工事

12月 建物引渡し

  • 手直し工事完了、確認後の建物引渡し

工事が完了すると検査を受けて、検査済証を取得します。

 

その後、設計事務所、コンサルティング会社、土地オーナー(施主検査)の順で建物の品質や仕上げの状況を検査します。

ここで指摘された事項を手直し後、引渡しとなります。

建設会社のスケジュール管理

1年目 08月 見積り用図面をもとに、建設会社候補の選定

 

設計事務所に依頼しておいた、見積り用図面と仕様書が出来上がったら、これをもとに建設会社の候補を選定します。

1年目 09月 10月 建設会社に見積もり参加の依頼

  • 建設会社に対し見積り作成依頼

工事の規模、工法、これまでの実績から数社を選んで、見積り用図面と仕様書を渡し、見積りを依頼します。

11月 建設会社の見積り金額の比較検討

  • 建設会社より、見積金額の提示
  • コンサルティング会社による見積書の精査
  • 協議、建設会社の決定

複数の建設会社から提出された見積金額と、各種設備の仕様の詳細を、コンサルティング会社がチェック。

 

その疑間点等を建設会社に確認後、土地オーナーと協議して建設会社を決定します。

1年目 12月~2年目 01月 実施設計をもとに工事金額を決定

  • 実施設計に基づく、建設会社よりの本見積書提出
  • 工事費明細の確認・精査、金額交渉
  • 減額調整(バリューエンジエアリング)
  • 最終建設工事費の決定

設計事務所の実施設計をもとに、建設会社が積算し、本見積書を提出します。

 

それを受けて、コンサルティング会社が、工事金額の値下げ交渉や減額調整を行って、最終工事金額を決定します。

2年目 02月 10月 請負契約締結・着工・竣工

  • 建設会社と工事請負契約締結
  • 地鎮祭(安全祈願祭)の実施
  • 建設工事の着手、工事実施
  • 建設工事の竣工

1月に確認済証を取得できれば、2月から工事に着手となります。

 

建設会社と建築工事請負契約を締結し、地鎮祭(安全祈願祭)を執り行います。

 

地鎮祭とは

その土地の神を鎮め、土地を利用させてもらうことの許しを得る儀式。神式と仏式があります。
神を祀って工事の無事を祈る儀式です。呼び方は様々で、鎮地祭、土祭り、地祭り、地祝いとも言う地域があります。
費用は施工業者が負担するのが一般的です。
工事期間中は、月例の現場会議が行われます。

随時、コンサルティング会社より工事の進捗状況を報告してもらいましょう。

11月 検査済証の取得と手直し

  • 工事完了後、検査済証の取得
  • 施主による完了検査および手直し工事

12月 建物引渡し

  • 手直し工事完了後、確認後の建物引渡し

建設会社の社内検査に合格後、指定確認検査機関か建築主事の検査を受けて検査済証を取得します。

 

設計事務所のスケジュール同様、設計事務所、コンサルティング会社、土地オーナー(施主検査)の順で建物の品質や仕上げの状況を検査します。

ここで指摘された事項を手直し後、引渡しとなります。

賃貸管理会社のスケジュール管理

2年目 08月 賃貸管理会社の候補選定

  • 賃貸管理会社の候補選定、プレゼンテーション依頼

賃貸管理会社の候補を選定して、プレゼンテーションを依頼します。

10月 賃貸管理会社の決定

  • プレゼンに基づき、賃貸管理会社を決定
  • 賃貸管理会社と賃貸管理業務委託契約締結

賃貸管理会社のプレゼンテーションから、建物の管理方法を比較検討します。

当然、費用対効果の比較も重要です。

専門用語が多いため、コンサルティング会社を通して、各社のプレゼンテーション・提案内容の違いの説明を受けるようにしましょう。

その内容を受けて、オーナー自身でどの管理会社と賃貸管理業務委託契約を締結するかを決めます。

11月・12月 入居者募集開始

  • 賃貸管理会社により募集図面作成
  • 募集開始、現地案内、入居者審査、賃貸借契約締結
  • 賃貸管理会社が、入居者募集の図面を作成します。

竣工に合わせて入居できるように、入居者の募集を開始し、現地案内、入居者審査、賃貸借契約締結などの業務を進めます。

コンサルティング会社より、募集状況の把握をしておくことが肝心です。

3年目 01月 賃貸管理業務開始

  • 入居に伴い、賃貸管理業務開始
  • 入居に伴う管理業務の遂行状況チェック
  • 賃貸運営状況の把握、賃貸経営状況のチェック

新築建物の場合、入居が始まると思いがけないトラブルが発生することがあります。

 

賃貸管理会社がこの管理をし、コンサルティング会社に報告します。

賃貸事業に関する運営状況、経営状況は、コンサルティング会社と密に連携をとり、把握しておきましょう。

金融機関のスケジュール管理

金融機関からの融資額で事業規模も決まってしまうので、金融機関との交渉は重要です。

有利な融資の取り付けと、スケジュールに沿った融資が実行されるよう、コンサルティング会社と打合せしましょう。

1年目 03月 金融機関への融資打診

  • 事業収支計画書、マーケティング調査資料、設計図面、見積書、登記関係書類などの資料に基づき複数の金融機関との融資打診

オーナーと、コンサルティング会社で作成した事業収支計画書とマーケティング調査資料、設計事務所の基本図面・見積書、土地の登記記録事項証明書などの資料をもとに、複数の金融機関に融資の可能性を検討します。

06月 金融機関の決定

  • 融資金額、返済期間、金利、返済方法、保証料などの融資条件を比較検証して金融機関を決定します。

1年目 08月~2年目 12月 金融機関と契約締結

  • 金融機関との金銭消費貸借契約の締結
  • 着手金、中間金などのつなぎ融資実行
  • 完成引渡時の最終金融資実行

金融機関と金銭消費貸借契約を締結し、融資実行を受けます。

 

建築工事請負契約、着工、上棟などの時点で、つなぎ融資を併用しながら、工事出来高に応じて融資を実行して貰います。

その他のスケジュール管理

測量会社、地盤調査会社の手配のほか、必要な場合には解体工事に、土地オーナー自身の仮住まい先の選定も必要です。

1年目 02月 測量事務所の手配

  • 現況測量の依頼、測量図の作成

建物を建築するためには現況の測量図が必要なので、測量事務所を手配し、測量図を作成します。

1年目 08月 地盤調査

  • ボーリング調査の依頼、地盤調査の実施

地盤調査会社に現地のボーリング調査を依頼し、地盤調査を実施します。

08月・09月 既存建物・解体工事

  • 既存建物がある場合、建物解体工事の実施

活用対象地に既存建物がある場合は、解体工事の段取りをしますが、建設会社が解体業者を手配することもあります。

現地の状況に応じて、既存建物の構造や規模によって解体工事の期間・解体費が決まります。

また、既存建物が賃貸住宅等で入居者がいる場合は、設計着手段階から立退交渉を進める必要があります。

土地オーナーの仮住まい

1年目 04月 土地オーナーの仮住まい先候補を選定

 

07月~2年目12月 仮住まい転居復帰

  • 仮住まい先の決定、転居
  • 仮住まい生活
  • 新築建物の完成、復帰

土地オーナーが活用対象地上の建物に居住している場合、仮住まいを探す必要があります。

なるべく短くなるように調整しましょう。
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