店舗併用の賃貸マンションが最強説??
土地活用をする時は、どうせ建てるなら家賃は高く取れる方がいい!と考えるのが普通です。
- 住宅より店舗の方が家賃は高い
- 同じ住宅ならファミリータイプより、ワンルームの方が坪当たりの家賃が高い
という考え方から、1階を貸店舗にして、2階以上をワンルームマンションにするのが一番いいということになるのでしょうか。
しかし、そのような店舗併用の賃貸マンションで、1階の店舗は半分しか入居者が決まっておらず、残りの部分にはシャッターに複数の賃貸管理会社の「貸店舗」というシールが貼られているのをよく見かけます。
そもそも店舗には向いていない場所だったのだということもあります。
収入ばかり気にして、その土地が何に向いているかを十分検討しないまま店舗併用マンションを建てた場合、全部住居にした場合よりも手元に入ってくるお金が少なくなってしまうということも起こります。
店舗に向いている土地とは?ポイントは視認性!!
ポイント① 視認性
土地の周辺を見回してみて、数百メートル先まで1軒も店舗がないとしたら、店舗に向いていないと考えた方がよいでしょう。
店舗の立地条件を考える際、車で走っている時にその場所がどのくらい手前から見つけられるか(視認性)ということが重要な要素になります。
実際に車に乗って走ってみるとわかりますが、スピードが出ている時は遠くの方しか見ていません。
渋滞してのろのろと走っている時には、道路沿いの店舗を1軒1軒確認することもできます。
また、信号のある交差点の近くであれば、車のスピードが落ちることがありますので、店舗の視認性はかなりよくなります。
視認性とともに、車の出入りがしやすいかどうかというのも重要ですから、間口が広い方が望ましいということになります。
ポイント② 駐車場
店舗への来客用の他に、2階以上の住居用の駐車場が確保できないようでは困ります。
そうしないと、住居の方の入居者を集めるのに苦労することになってしまいます。
【実例】駐車場スペースがとれず、大手飲食チェーンの店舗に!
愛知県の国道沿いの土地を所有しているAさんは高収入が得られる土地活用をしたいと思っていました。
Aさんの所有している土地の前の国道は車の通行量が結構多く、国道沿いには各種店舗が建ち並んでいる路線商業地という立地です。
Aさんは地元の建設会社に相談しましたが、Aさんの希望する収入は得られないということで不満がありました。
高収入を得られる土地活用として、1階を店舗、2階を事務所、3・4階をワンルームマンションという案も提案されました。
しかし、このプランでは規定の容積率いっぱいに建物を作るため、十分な駐車場スペースが確保できないという大きな欠点がありました。
10台くらいの駐車場はとれても、1階店舗への来客用の駐車場にしかならず、従業員用の駐車場、2階の事務所用、3・4階の住人用の駐車場が1台もとれないのです。
近隣に貸駐車場があるとはいうものの、同一敷地内に駐車場がある物件に比べて相当競争力が落ちることは否めません。
近隣の貸駐車場の空きスペースを調べて、100m以内の範囲で必要台数を確保できることがわかりましたが、建物の規模から、投資金額が大きくなるため、それだけリスクも大きくなるということに不安を感じました。
結局高収入プランは採用せず、Aさんは最終的に大手飲食チェーンの店舗を建てることを選択しました。
建築資金の大半を保証金という形で入居者に出してもらい、ほとんど借金なしで建物を建てて、賃貸することができました。
手元に残るお金はAさんが希望していた額には満たないのですが、入居者は優良企業ですし、何より借金がないのでほとんどリスクがありません。
- リスクを背負って高収入を求めるか
- リスクなしで中程度の収入を求めるか
この2つの選択の中で、Aさんは後者を選択しました。
ワンルームマンションに向いている土地とは?ポイントは視認性!!
ワンルームあるいは1Kタイプのマンション(1戸当り20~25㎡)は、単位面積あたりの家賃が高いのが一般的です。
50㎡の2DKタイプマンションの家賃が月6万円とすると、その半分、25㎡の1Kタイプマンションの家賃は月4万円程度です。
つまり、面積は1/2でも、家賃は2/3なのです。
単位面積あたりの家賃を計算しますと、2DKの1200円/㎡に対して、1Kタイプは1600円/㎡と約33%高いのです。
1Kタイプの方が建築費は高くなりますが、それ以上に家賃が取れるのですから、効率的です。
ワンルーム、1Kタイプのマンションの入居者はどのような人たちでしょうか。
通常、大学生、独身サラリーマンやOL、単身赴任のサラリーマンといった人たちですから、近くに大学があるとか、都心に近く、単身者向けの寮として企業からの需要も見込めるといったところでは、入居者の確保は比較的容易かも知れません。
ただ、それでもファミリータイプマンションに比べて入れ替わりが激しいですから、建築当初満室になったからといって安心してはいられません。
常に需要がなければならないのです。
大学が移転してくるからということで、学生向けのマンションが相次いで建てられたという事例がありましたが、実際は大学内に料も建設されたため、新規の需要はありませんでした。
供給数が需要を上回ってしまうと、空室だらけのマンションが目立つという結果になってしまうのです。
【実例】ワンルームマンションでも需要の変化に対応する!
名古屋市のBさんは、独身者向けに1Kタイプ、1LDKタイプのマンションを建設しました。
Bさんのマンションの近くには、複数の大学があり、都心部にも近いため、入居者の確保には全く苦労していませんが、それでも計画段階では結構不安に感じていました。
賃貸マンション事業は20年・30年という長期の事業ですから、20年後には入居者が確保できないということでは意味がありません。
そこで、Bさんは2つの対策を講じました。
- 独身者が減少して需要が少なくなったら・・・
ワンルームマンションの需要が少なくなった時に、1Kの2つの部屋を一つにして2LDKタイプに変更できるように、2つの部屋の間の壁を鉄筋コンクリートではなく、取り壊しが可能なものにしていました。 - 独身者向けだけど・・・
1戸当りの面積を25㎡と現在の中心的なマンションよりも大きくしました。
ワンルームといえば5坪(約16.5㎡)というのがほとんどでしたが、今ではそのタイプのものは家賃を下げてもなかなか入居者が決まらなくなっているため、独身者でも大きな部屋に住みたいという需要が高くなっているということがわかります。