事業収支計画書は「3つのポイント+α」で出来ている!
「3つのポイント+α」とは?
- 総事業費
- 収入(賃料)
- 返済(金利・元金)
+α:ランニングコスト
① 総事業費
総事業費は、建築工事費の1.15倍程度と言われています。
総事業費は、建物本体の建築費用以外にも賃貸事業開始に向けて必要な費用がいくつもあります。
総事業費に含まれる費用
- 建築工事費
- 外構の整備費用
- 設計料
- 消費税
- 金融機関の融資関係費用
- 火災保険料
- 不動産取得税
- 登記費用
- 近隣対策費
- 仮住まい費用(土地オーナー)
- 新居用の家具(土地オーナー)
- 解体費用(建替えの場合)
- 立退費用
- 予備費用
近隣対策費は、近隣住戸から「窓の位置を変えてほしい」「塀を設置してほしい」などの要望が出たときのための予算となります。
また、注文建築の場合は、追加工事が発生するケースが多いため、予備費用も見込んでおく方が良いです。
予備費用については、土地オーナーと土地活用プランナーだけで共有しておき、建築会社に対しては、追加の予算枠があることは秘密にしておいた方が、必要が迫られた時に予備費用をつかうことができます。
② 収入(賃料)
総事業費の次は収入「毎月お金がどれだけ入ってくるか」の見積もりです。
収入とは月々の家賃のことで、どれくらいの収入が見込めるかについては、事前にマーケティング調査を行い、相場を調べた上で現実的な予測を立てる必要があります。
賃料見積りの2STEP
- マーケティング調査から見積る
- 設計図、賃貸面積表から見積る
賃料は、この2STEPで見積ることができますが、厳密な単価の積み上げではなく、マーケティング結果による賃料査定を収入計画に反映させる方法もあります。
そのときに、事業収支計画においては2種類の見方があります。
- 階層別賃料比率を考慮してフロアごとに「面積×単価」を出す方法
- 間取り、設備等から導き出された各部屋の査定賃料から逆算して「坪単価」を出す方法
収入計画では、家賃保証(サブリース)なのか、空室保証があるのかによって、空室率を何パーセントに想定するのかが決まってきます。
また、家賃査定が余裕のある家賃査定(手堅い家賃査定)なのか、強気の賃料査定(チャレンジ価格)をしているのかによっても、空室率が変わってきます。
賃料見積りについて詳しくはこちらで紹介しています。
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③ 返済(金利・元金)
総事業費が決まれば、自己資金との兼ね合いで、必要な借入金額が確定し、金融機関への月々の返済計画を作成します。
毎月の返済額は、借入金の額とアパートローンの返済期間、借入金利によって決まります。
金利はローンの期間や、固定金利か変動金利かといった借入れ条件によって変わります。
- 固定金利・・・金利が固定のため、手堅い返済計画を作成できる
- 変動金利・・・金利が比較的低めだが、景気などの経済情勢によって日々変わってしまうため、事業計画の段階では正確な金利を確定することができない。
変動金利で事業計画を組む場合は、現状が2%だとしたら5年後に+1%、10年後にも+1%というように、安全値を考えて高めに設定しておきましょう。
金融機関から調達可能な借入金額を決め手から、自己資金を加えた金額を総事業費とし、総事業費の枠内で建築費を決定する方法もあります。
これは、調達可能な総事業費の枠内で、高級仕様の賃貸住宅を建設するのか、住宅機器や設備を充実させるのか、規模を追求するのかなどを決めていく方法となります。
+α ランニングコスト
事業収支計画時点で、ランニングコストを見込んでおかないと、後から気がついた時に「費用がもったいない」と放置してしまいがちになってしまいます。
修繕費用も合め、建物のイメージの維持に必要なランニングコストを事業計画できちんと見込んでおかなければ、空室リスクが高まってしまうのです。
主なランニングコスト
- 建物の維持管理費
- 日常の清掃費用
- 原状回復費用
- メンテナンス費用
- 共用部分の水道光熱費
- 大規模修繕の費用
- 植栽の維持管理
修繕などのメンテナンス費用についても、建物の品質によっても大きく変わりますが、コストを惜しんではいけない項目の一つとなります。
修繕や日頃の管理によって、建物の品質をしっかり維持していれば、長年にわたって収益をもたらす優良物件になる可能性が高まるからです。
ランニングコストについては、こちらで詳しくご紹介しています。
だから、事業計画を立てる時は、総事業費は多め、収入は少なめ、返済は手堅く、ランニングコストはしっかりと見込んでおくことがおすすめなんだよ。