住宅ローンの金利優遇について
住宅ローンの金利優遇について。
住宅ローンでは通常、銀行の店頭で表示されている金利よりも、さらに低い金利で住宅ローンを貸し出しています。
これを、住宅ローンの「金利優遇」という呼び方をします。
私の経験でお話していきますが、住宅ローンの金利優遇を初めて聞いたのは、確か平成11年か平成12年ぐらいだったと記憶しています。
私が始めて住宅ローンの金利優遇を知ったのは、その当時のM信託銀行でした。
今では、合併して名前も何回も変わっていますが。
当時の金利優遇は、変動金利の店頭金利が2.375%から、0.2%の金利を優遇するものでしたので、出来上がりの金利(銀行の人たちは金利優遇後の住宅ローンの実行金利を「出来上がりの金利」と呼んだりします)は2.175%でした。
その当時は、住宅ローンの金利を引いてもらうこと(まけてもらうこと)はものすごく珍しいことでしたから、私は住宅ローンを利用されるお客様がいらっしゃったら、迷わずその銀行を利用していました。
その後住宅ローンの金利優遇幅は、0.2%が0.5%になり、0.7%になり、1.0%になり、1.2%になり、1.4%になり、平成24年4月現在では、1.6%にまでなっています。
銀行によっては、1.7%の金利優遇をしているところもあります。
少しがんばって探せば、たやすく見つけられると思います。
金利優遇だけで判断はしてはいけない
また注意して頂きたいのですが、金利優遇だけをみてはいけません。
1.7%の優遇をしてくれる?!と思っていたら、店頭金利が2.675%であったために、出来上がり金利(実行金利)は0.975%だったのです。
2.475%の店頭金利で1.6%の金利優遇をしてもらうと、出来上がり金利(実行金利)は0.875%になります。
こちらのほうがトクになります。
私が新卒で不動産業界に足を踏み入れた平成8年ごろからの住宅ローン金利の経緯は、私の記憶では2.625%→2.375%→以後ゼロ金利解除の時期まで続く、そしてゼロ金利が解除され、いったん2.875%に上がりましたが、その後半年ほどですぐに下がって2.475%となっています。
出来上がりの金利は1.6%の優遇を受けられれば、0.875%となります。
巷では一時住宅ローンの金利が上がってきた、などと騒がれていた時期もありましたが、出来上がりの金利の推移は、下落の一方です。
ゼロ金利解除のときに、少しあがった程度です。
つまり、店頭金利で見ると、住宅ローンの金利は、多少の上下はありましたが、結局、実行金利ではほとんど上昇したことがないのです。
私の個人的な主観ですが、この金利優遇制度が縮小していかない限りは、住宅ローンの金利が上昇していくことはまず考えられません。
住宅ローンの店頭金利が仮に上昇しても、金利優遇の幅が大きくなれば結局は住宅ローン金利は上がらないのと同じなのですね。
巷のうわさや金利動向に惑わされず、出来上がりの金利(実行金利)でご判断ください。
変動金利の場合の金利優遇と、固定金利の場合の金利優遇については次のページでご説明をします。
固定金利の金利優遇と変動金利の金利優遇
固定金利の金利優遇と変動金利の金利優遇について
(銀行によっては「金利優遇」と呼ばずに「金利の引き下げ」などと呼んだりします)
ほとんどの銀行が、事前審査での内諾をとりつけたときに、「その条件で本申し込みを進めてください」と書面にしてくれます。
その書面の中に、金利優遇を○○%しますよ、っていうことが書いてあるのです。
また、「固定金利と、変動金利のスイッチングも可」 などと書いてあるときもあります。
この「スイッチング」というのをここでご説明します。
たとえば、変動金利2.475%で1.6%の金利優遇が受けられた場合、0.875%で借り入れをすることになりますが、借り入れ期間中に
ということも可能なのです。
変動金利で借りているときは、いつでも固定金利に変更することができます。
(スイッチング可で借り入れした場合です。また、月ごとの変更なので、月の途中に変更申請すると、翌月から変更が反映されます。一応銀行に直接ご確認ください。)
ですが反対に、固定金利の期間中は変動金利に変更することができません。
(できませんというのは正確ではないかもしれませんが、固定金利の期間中に、変動金利に変える場合は、「違約金」がかかるのです)
変動金利から固定金利にはいつでも変えることができる固定金利から変動金利に変更するのは、固定金利の期間終了後
たとえば10年固定3.75%を金利優遇1.6%で借り入れすると、10年間は金利2.15%で借り入れすることになります。
そして、その10年間の間に「やっぱり変動にしよう」と思っても、違約金がかかるため、変動金利に変更することがトクにならない可能性もあります。
さすが銀行、損をしない仕組みなんですね。
損をしないという言い方が適切ではないかもしれません。お金を貸すほうのリスクヘッジが上手なのですね。
ここで覚えておいていただきたいのは、「変動金利から固定金利にはいつでも変えることができる」「固定金利から変動金利に変更するのは、固定金利の期間が終わってから」です。
あと誤解のないようにしていただきたいのが、ここで説明している固定金利は全期間固定の金利ではありません。2年固定、3年固定、5年固定などの短期間の固定金利のことです。
また、「固定金利と変動金利、どっちで借りるほうがトクなのですか?」この質問はお客様からよく出てくるのですが、私はいつもこう答えています。
と答えます。
けれども、あまりに無責任な発言に聞こえてしまうので、このように続けてお話します。
「ただ、借り入れ当初が一番金利の支払いが多い時期ですから、借り入れ時は一番安い金利になるものを選んでおけばいいと私は思います。つまり変動金利です。
固定金利の支払額をお支払いできるのならば、支払い額の低い変動金利で借りておいて、固定金利の支払額を払っているつもりで、その差額を毎月繰り上げ返済すればいいと思います。
そうすれば元金がより多く減りますから、金利が上がったときにもその影響を抑えることができると思います」
まあこれは私の個人的な主観ですから、正解ではありませんし、固定金利か変動金利かを選ぶのに正解はないと思いますから、一個人の意見だと思ってご参考にしていただければ幸いです。